製品評価技術基盤機構(NITE)は2026年10月29日、暖房器具の使い方についての注意喚起を発表しました。2021年から2025年の5年間にNITEへ通知された製品事故情報のうち、主な暖房器具の事故は543件で、電気ストーブ・電気ファンヒーター(電気暖房器具)と石油ストーブ・石油ファンヒーター(石油暖房器具)が約8割を占めています。NITEは、洗濯物や布団などの可燃物を暖房器具の近くに置かないこと、取扱説明書に書かれた壁や可燃物との距離を確保することを、特に呼びかけています。暖房器具を出す前に、確認しておきたい内容です。
5年間で543件、事故は11月ごろから増える
NITEの発表資料によると、対象は、消費生活用製品安全法に基づいて報告された重大製品事故と、事故情報収集制度で集められた非重大製品事故です。「主な暖房器具」とは、電気ストーブ・電気ファンヒーター、石油ストーブ・石油ファンヒーター、ガスストーブ・ガスファンヒーター、オイルヒーター、電気カーペット、電気こたつを指します。
- 電気暖房器具の事故は204件、石油暖房器具の事故は239件
- 電気暖房器具では、毎年40件前後の事故がほぼ横ばいで発生している
- 事故は11月ごろから大きく増え、電気・石油のどちらも、12月から2月に集中している
- 石油暖房器具では、70歳代以上の事故の割合が多く、特に石油ストーブで高齢者の割合が高い
被害の状況を見ると、電気暖房器具の204件のうち火災は178件、死亡事故は17件(被害者18人)でした。石油暖房器具の239件では、火災が233件、死亡事故は45件(被害者51人)です。なお、電気暖房器具には、加湿機能付き電気ストーブでレジオネラ菌が繁殖した事故が1件含まれています。
特に気をつけたいのは「可燃物の接触」
NITEが挙げている注意点の中心は、可燃物の接触です。
- 洗濯物、布団、衣類、クッションなどの可燃物を、暖房器具の近くに置かない
- 取扱説明書などに書かれた、壁や可燃物との距離が確保されているかを確認する
- 就寝時や外出時は、必ず電源を切る(火を消す)
資料には、火災予防条例で定められている離隔距離の一例として、電気ストーブ(定格入力2kW以下の前方放射型)の場合、可燃物との距離を前方・上方100cm以上、側方30cm以上、後方4.5cm以上確保することとされています。ただし、必要な距離は機種によって異なるため、必ず取扱説明書を確認するよう呼びかけています。
事故事例として、電気ストーブを使ったまま就寝し、寝返りで布団が掛かって住宅が全焼したと推定される例(2025年1月)や、給油後にカートリッジタンクを本体に戻すときに給油口のふたが外れ、こぼれた灯油に引火して建物1棟が全焼、5棟に燃え広がった例(2024年12月)が紹介されています。参考情報として、東京都のアンケート(平成26年)では、電気ストーブを使う520人のうち、正面の離隔距離を1m未満にしている人が63.1%だったとも書かれています。
電気暖房器具の点検ポイント:リコールと電源コード
NITEは、電気暖房器具について、次の点検を勧めています。
- 使っている製品がリコール対象でないか確認する。電気暖房器具では、リコール対象製品の事故が多い(原因が特定できた事故の事象別では3番目に多い20件で、リコールが実施されていたのに対応していなかった製品の事故)
- 電源コードに破れや亀裂、硬化がないか確認する。特に本体側とプラグ側の根元付近を見る
- 電源プラグが変形、変色、溶けていないか確認する。コンセントに差したとき、緩く抜けやすくなっていないかも見る
- たこ足配線にしない。取扱説明書で延長コードの使用が禁止されていることがある。延長コードを使う場合は、接続した機器の消費電力の合計が延長コードの最大消費電力を超えないようにする
リコールの確認には、消費者庁のリコール情報サイトや、NITEの事故情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」が使えます。
石油暖房器具の点検ポイント:灯油の入れ替えと給油
石油暖房器具については、次の点検が挙げられています。
- 置き台や燃焼部のまわりのほこりを取り除く。ほこりが積もると、炎が逆流する「吹き返し現象」で引火するおそれがある
- 昨シーズンの灯油は使わず、新しい灯油を使う。劣化した灯油は、薄い黄色に変わったり、すっぱいにおいがしたりすることがあるが、見た目やにおいに変化がなくても劣化している場合がある
- 灯油とガソリンは別の場所で保管し、ラベルなどで区別する。少量でもガソリンが混じると、火災のおそれがある
- 給油するときは、必ず先に消火する。給油後は、カートリッジタンクの給油口のふたがしっかり閉まっていることを確認してから、本体にセットする
資料には、2011年以降に販売された石油燃焼機器では、給油口のふたが閉まっていることを、音や目視、感触などで確認できる機能があるとも書かれています。昨シーズンの灯油が残っている場合は、灯油を購入した販売店に処分の相談をするよう案内しています。
万一、火が出たときの目安
資料の別紙には、神戸市消防局が監修した、石油ストーブの火災の消火方法・避難の目安が載っています。炎が背丈を超えていたら、初期消火は難しいので避難するのが基本とされています。特に高齢の人は、消火しようとして逃げ遅れることが多いため、身の安全を第一に、迷ったらまず避難するよう書かれています。石油ストーブの火災の消火は、B火災(油火災)に対応した消火器で行うとされており、事前に消火器の置き場所を確認しておくことが勧められています。
NITEの表を見ると、電気暖房器具では内部配線の異常発熱など、製品側に原因がある事故も多く、使い方だけで防げるものばかりではありません。それでも、電源コードの断線、可燃物の接触、給油口ふたの閉め忘れ、ガソリンの誤給油など、使う側の確認で減らせる事故も上位に並んでいます。シーズンの初めに、リコール対象かどうか、コードやプラグの傷み、周りに置いている物、昨シーズンの灯油が残っていないかを一度見直しておくと、安心して使い始められると考えます。異常に気づいたときは無理に使い続けず、取扱説明書に沿って販売店やメーカーに相談してください。
出典
- NITE「適切な離隔距離、知っていますか?~暖房器具は可燃物との距離を確保して火災を防ぎましょう~」(2026年10月29日)
- 同 発表資料(PDF)
- 消費者庁リコール情報サイト(リコール確認先)
2026年10月29日時点の情報です。
